アル中に陥った私が六甲山で先輩の車に嘔吐した話 その2

 今からまさかの六甲…。

時間は22時を過ぎたところ。

教授「おぉ、六甲山からの夜景はいいぞ~ドライブ楽しんできなよ」

このとき、教授はまるで素面のような顔つきで独り帰られた。

教授と同じタイミングで 私も駅に向かえば、こんな大事にならなかっただろう。

 

言われるままに車に3人乗り込み、卒業生であるA先輩の運転で六甲山へドライブに行った。

学園祭による学生部の進行のお話を聞くふりをしつつも 正気を保てず、顔は俯いてばかりに…。

山のふもとを過ぎたあたりで、同乗しているB先輩が私の顔色をうかがう。

つむぎこ「大丈夫です。ちょっと酔っただけで……」

 

つむぎこ「!?」

吐き気が起こった。最初は車酔いの単なる吐き気のようだ。

耐えられず、吐き気があるので車を停めてもらいたいと運転中のA先輩へお願いする つむぎこ。

 

一度、自販機の手前で停めていただき、その横で俯いて背中を丸める。

 

第一波が訪れた。

涙目で最悪だと言葉が漏れる。

 

少し休憩することにしたが、やはり治まる様子はない。展望台へ向かうことに。

 第二波、第三波が訪れ、その度に上手く停車して 外で嘔吐する。

この日は交通量が少なく、運よく非常駐車帯に停車できた。

 

展望台に到着後も吐き気は相変わらず、今度は寒気も感じ始める。

外の空気を吸うため、車から降りると 足に力が入らなかった。ついに倒れてしまう。

 

駆け寄ったB先輩はひとつ決心がついたように、

「つむぎこくん、今から救急車呼ぶから、もう少し我慢してね」

と携帯電話を取り出し、119へ電話した。

「救急です。六甲山で友人がアルコールと車酔いで倒れてしまって…」

しかし、一番近い神戸市から救急車が出せないらしく、自分たちで病院に行くしかないということを耳にした。

病院は出来るだけ自宅から近い市民病院に行くことに。

 

病院までは30kmていど。我慢できるだろうか。

A先輩「吐きたくても我慢したらあかんで、つむぎこくん。気にするな、思い切りいけぇ!!」

ついに第五波が訪れたとき、偶然だったのか 車窓が下りていたので、なんとか外に嘔吐。

だったはずが、血反吐のように垂れ流した嘔吐物はA先輩の車のボディに……。

 

「すみません……すみません」と病院まで急行するなか、涙を流しながら ひたすら謝り続ける つむぎこであった。

 

                             

 

つづく